ジャンクのアコースティックギターを修理した話
僕の実家には納戸がある
玄関フードまでドアひとつであり、暖房もなにもなく、北海道の冬場は極めて寒い
僕の実家にはギターがたくさんある
当然使い物にならなくなってしまったものもある
そんなギターが数本、納戸に数年間放置されていたのだった
あるとき、納戸でそれらジャンクギターを見ていると、一本のギターのペグがGroverタイプのものであるとわかった
前に紹介したCat's Eyesのペグが貧弱だったので、どうせジャンクだからとそのギターから奪いとろうと思ったのだ
手にとってよく見ると、まあまあ作りがよい
ラベルを見てYAMAHAの「FG-300M」だとわかった
よくよく木を見てみると、トップ板がなんと単板であり、どうにか治せないかと考えてみた
こちらが問題のギターである
このギターがジャンク行きになっていた理由は、ネックヒールの剥がれである
割と多い症例であり、ここが剥がれるとネックの角度に影響が出て楽器としての用を足さなくなるのだ
しかし、過酷な環境にあったにも関わらず、板が割れていたりもなかったので頑張って治すことにした
そもそもなぜヒールが剥がれてしまったのか…
その理由は「接着をほとんどしていなかったからだった」
ピッタリはめ込んで、多少接着されていたのである
しかし30年も経たずにあっさり壊れてしまうあたり、その考え方は間違っていたのだと思う
という訳で、ネックを少し叩くとすぐに外れた
アコギの作り方はうっすらと知っていたが、ネックのジョイントが謎だった
こうして実際にバラすと勉強になります
とりあえず接着面に残った接着剤を除去して試しにはめ込んでみようとしたが、何故かうまくはまらない
木が狂ってしまったのであろう、当然である 極端な温度変化にひどい乾燥状態で保管放置していたのだから
という訳で、ネック側をひたすら削りました
どこが干渉してうまくはまらないのかわからなかったので、必要以上に削ってしまっていたと思う
しかし、接着が終わった段階でも0.2ミリくらい、浮いている
今思えばもうちょい削ればよかったとも思うがご愛嬌
で、ある程度ちゃんとはまるようになったら、接着剤を薄めることもせずに塗ったくり、なるべく奥まではまるように全力を込め押しこむ
フィンガーボードとトップ板の接着面をクランプで固定し、ヒールがサイド板に密着するように力を加えて放置
3時間くらいでだいたいくっついたかなぁって思ったのでライトゲージを張りました(思慮深い方なら1日置いてからエクストラライトを張るのでしょう…)
特に問題も起きず、リペア完了
サドルが無かったのでこの前削ったやつを使った
ナットも無かったのでこの前削りすぎてオシャカになったかと思われた牛骨ナットを設置してみたら良い具合だったので、成形して接着
で、弾いてみたところなかなかどうして良い音で鳴る…
当初はなんか気持ち悪い程ギラギラ感があったが、ブリッジの弦溝(ノッチというらしい)を掘ってやると非常にバランスのとれた音になった
Cat's Eyesはお役御免となり、今ではピックアップをつけてエレアコとしての役割を与えている