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アコースティックギターの弦溝(ノッチ)処理についての考察

はじめに

アクセス解析をみていると、どうやらだいぶ前に掲載したアコースティックギターの弦溝処理についての考察記事が割と人気らしいのですが、相当わかりにくい図での説明で終わっていたので、リバイス兼ねて再度掲載させて頂きます。

弦溝(ノッチ)とは?

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この画像の、弦が出る穴とサドルの間の溝の事です。古いギターでは、経年の磨耗により自然に溝が掘られていたり、高級ギターにははじめから施工済の事もあります。ブリッジ材がエボニーだと、自然にはなかなか削られないので、意図的に施工する必要があります。

弦溝が音質に与える効果について考察

まずはこちらの図をご覧下さい。 f:id:kiguchi999:20190106141209p:plain 結論として、弦溝がある事で、弦がボディ裏から出る際によりサドルに近い位置となり、サドル方向への張力が大きくなると言えます。この事は、サドルをトップ面により強く押し付けているという事になります。この事で音質が変化すると言えます。

施工するかどうかについて

弦溝の施工は、当然ですが不可逆の変化です。したがって必要性に応じて実施したいものです。考えられるケースとしては、弦高調整のためサドルを低くした場合等です。サドルを低くすると、サドル方向への張力が小さくなる事は自明です。サドルを低くしたせいで音質が変わってしまって戻したい場合は、弦溝の施工が有効である可能性が高いです。弦溝施工を行えば音質は変わるでしょうが、それが必ずしも良い音質とは限らないので、よく考えてから施工しましょう。

注意点

気をつけるべき点が2つあり、ひとつは前段で述べたとおり、必ず音が良くなるとは限らないという事です。経験上音が悪くなった事はありませんが、一応取り返しのつかない施工なので、よく考えて。もう一点は、ブリッジの強度です。サドルに近い位置から弦が出るほど、サドル方向への張力が強くなると説明しましたが、近すぎる場合、ブリッジ自体の強度が下がってきます。

まとめ

音質がどうとか、よく気をつけてだとか、色々言っていますが私はそれほどの高級ギターでない場合はすべてのアコースティックギターに弦溝処理を施しています。経験上、だいたい音が良くなったと感じるためです。当初から弦溝が施工されているものがある事からもわかるとおり、音質に良い影響がある事は確かなようです。手持ちのギターの音質を向上させてみたい、なんて場合にはとりあえずノッチを掘ってみるのが面白いかもしれませんね。